今回はイタリアにあるEurac Researchという研究施設のterraXcubeという研究設備に訪問しました。私の留学先の教室は特殊環境生理学・運動生理学を専門にしており、高山研究も行っています。最近できた施設なので日本人で初めての訪問かもしれません。高山研究、特殊環境研究に興味がある方には有益かもしれないと思いレポートします。
今回のお話は以下の4点です
*目次*
1.Eurac Researchとは
2.TettaXcubeとは
3. 今回の訪問目的
4. 今後の予定
1.Eurac Researchとは
イタリアBolzonoに位置する研究施設。1992年に言語・法律・高山環境の研究を含む様々な研究を目的に設立され、徐々に規模を拡大し現在は25以上の国から400人以上の研究者が所属している。研究の3大テーマとして生活に適した地域・生活を向上させる機能としての多様性・健康的な社会を掲げている。
2.TettaXcubeとは
2018年11月に完成した高山環境の負荷を人工的に行う事ができる施設で高山環境が与える人体生理、生態、また産業製品への影響を安全に研究することを目的としている。1人用のsmall cubeが4つと137m2
もの大きさがあり2人同時に居住可能なlarge cubeがある。Small cubeは高度4000mまでの負荷が可能でlarge cubeは、なんと、高度9000mもの負荷を行うことができる。
もの大きさがあり2人同時に居住可能なlarge cubeがある。Small cubeは高度4000mまでの負荷が可能でlarge cubeは、なんと、高度9000mもの負荷を行うことができる。
3. 今回の訪問目的
今回は以下の研究に我々のグループが参加したため訪問した。
“New winter mountaineering project for
Simone Moro and Tamara Lunger. A Eurac Research study on acclimatisation and
de-acclimatisation will take place in the terraXcube centre for the simulation
of extreme climates.“
Simone Moro and Tamara Lunger. A Eurac Research study on acclimatisation and
de-acclimatisation will take place in the terraXcube centre for the simulation
of extreme climates.“
Simone Moro さん とTamara
Lungerさんは世界的に有名な登山家であり、特にSimone Moroさんは本を何冊も出版されている。2人は2週間チャンバーに滞在し徐々に高度6400mまで負荷され、その中で生活する。今回は6400mとなった彼らの評価を行うために、訪問した。
Lungerさんは世界的に有名な登山家であり、特にSimone Moroさんは本を何冊も出版されている。2人は2週間チャンバーに滞在し徐々に高度6400mまで負荷され、その中で生活する。今回は6400mとなった彼らの評価を行うために、訪問した。
<写真は高度7100m負荷の時点の計測計とlarge cubeのモニターの様子>
研究者は検査のため、高度6400mの環境に入っていくわけだが、窒素による塞栓のリスクにきちんと配慮されていた。まずエコーでPFO(卵円孔開存)がないかをバブルを用いてチェックする。その後100%酸素を20分ほど吸入し、できるだけ血中の窒素濃度を下げる。そして、2時間ほどかけて高度6400m負荷になるように減圧していくという手順であった。圧を戻す際には減圧時よりも早く戻していた。
<写真はボスが血管エコーで血流の評価を行っている様子>
被験者は研究所に夜も滞在してるためスタッフも夜勤を行い勤務している。2連続夜勤もやっており、実験期間中は体力が必要かもしれない。今回の研究日程も前日19時ごろ終了し、みんなで会食の後、ラボで睡眠し、5時に再集合という感じだった。
<写真はラボの一室においてもらった私のベッド>
4. 今後の予定
我々のグループも2020年内に高山と寒冷刺激の負荷についての研究をterraXcubeで行う予定。私も心エコーの評価などで参加するかもしれません。マイナス20度まで下げるみたいなので、検査するのも辛そうです。。
コメントを残す